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その、彼と彼女の、初めての…

こんばんは、無頼です。
今日は6月4日。
虫の日…羽柴君の日(wayaさん制定)。
羽柴君お誕生日おめでとう!

久しぶりに全年齢SSで更新します。
今日は6月4日なので、五年生夫婦で!
ちょっと短いお話ですが、よろしければ下の続きからどうぞ。

次回は超久々に騎原さん夫婦でえっちなお話を書くかも…



【その、彼と彼女の、初めての…】



「目的地まであとどれぐらいー?」
「もうあと少しだー!」
疲れを感じさせない様子で、
前を走る少年は、後ろを走る少女の問いかけに、笑顔で振り返り答える。
「ただあと一回ちょっと長い坂道越える事になるから注意なー!」
「へーきへーき!」
「よし、それじゃあ…」
特に自転車を漕ぐ速度を早める事など無く、
二人はほどほどの、ややのんびりした速度で、目的地に向かって走り続ける。
頭上には雲一つない、晩春の空が広がっていた。


中学校に進学して以来、以前までと比べて会う機会が減っていた
羽柴秀虫と晴川夏海の二人だが、
昨年の、ガンバーズの出場・優勝した全国大会での再会以来、
二人は直接会う機会が多くなった。
通っている学校は小学校の時同様に違うが、
時には一緒に勉強したり、そして一緒に遊んだりもする、
直接会えなくても、電話でおしゃべりしたりもする…
ガンバーズ時代から続く友情関係は、今も二人を強く結んでいた。

そんな二人が中学二年生に進級して少しした頃の晩春の終末、
その日がお互いに部活も学校行事も無くフリーなのを確認したところで、
羽柴は夏海をポタリングに誘った。
行先は二人の暮らす市の郊外の山付近にある、羽柴が先日訪れたという花畑。
自転車で片道一時間ほどの距離。
バスで行けばそれほど遠くない距離ではあるが、
自転車では決して近いとは言えない距離。
久しぶりの二人での「遠出」の計画に、二人の胸は躍った。

当日は快晴だった。
お弁当などを持って午前中のうちに出発し、
二人はのんびりと自転車を漕いで、
春の気持ち良い風を浴びて、変わりゆく風景を楽しみながら、
二人は目的地を目指した。


「すごい…」
坂道を登りきったところで、眼下にそれは広がっていた。
「な、綺麗だろ?」
「うん…」
そこには、色とりどりの花が咲き乱れる、広大な花畑が広がっていた。
近くにある空き地に二人は自転車を停めると、二人は花畑に向かって歩き出す。
「まさかこんな近い場所にこんなすごい花畑があるなんて、
ずっと知らなかったよ。」
「まぁ近いと言っても、車やバスで行かないと
そんなに近いと言える距離じゃないしな。
しかしずっと知らなかった俺も甘かった!」
「羽柴はいつここに初めて来たんだ?」
「去年の夏に一人で自転車でちょっと遠出した時に、ここを通りかかった時だ。
 その時はここで長く時間喰っちゃったものだからさ、
 その日の予定まで大幅に狂っちゃってな、
 夕方には家に着くはずだったのに、実際に家に着いたの夜の9時だった…。」
その日の事を思い出して、羽柴は苦笑いを浮かべる。
「この花畑、やっぱり虫もいっぱいいるのか?」
「ああ!今まで去年から何回かここに来て調べたけど、
今まで調べただけでも、もう○十種類以上は見つけたかな。」
「そんなにもか!?」
「この季節に来るのは今日が初めてだからさ、
 今日初めて確認できる虫も絶対いると思うんだ!」
虫の話題になると、やはり羽柴の目の輝きが違う。
こういうところは小学生の頃と変わらない。
夏海は小学生の頃…まだガンバーズに在籍していた頃も、
何度も羽柴に連れ添って、昆虫採集や自然観察などに付き合った経験がある。
彼女も、彼と過ごすそんな時間が嫌いではなかった。
羽柴の影響などもあり、
生き物や自然の観察をするのも彼女は好きになった。
(ちなみに彼女は自宅では一昨年の夏祭りの金魚すくいですくった金魚を
 一匹も死なせることなく、大切に飼っている。)
今日のポタリングの誘いを受けた時も、
彼から現地に着いてからは昆虫観察にも精を出す事を告げられている。
夏海もそんな彼に付き合うと告げて、今日は彼と共にここに来た。
中学進学後も機会があれば会って一緒に遊びようになった二人だが、
こうして「遠出」して彼に付き合うのは、実に久しぶりの事だった。
羽柴は誰が見てもわかるように、嬉しそうな期待感に溢れていた。
そんな彼に付き合う夏海も、内心彼と同じで、
嬉しい期待感に満ち溢れていた。
彼との懐かしい時間が、戻ってきたようにも思えて、
そして、彼と一緒に、こうして一緒にいられる時間が出来た事に。
「昆虫観察に精を出すのはいいが、お前、お腹減ってない?」
「…腹ペコだ。」
「うん、実を言うと俺もお腹空いちゃったんだけどね。」
「じゃあまず先に…」
「昼ごはんだな。」
互いにくすりと微笑み合って、ビニールシートを用意する。


「羽柴、あのさ…」
「んー?」
手持ちの最後のおにぎりを包むラップを剥き、
かぶりつこうとする羽柴の前に、
まだいくつものおかずが残る夏海の弁当箱が差し出された。
「…よかったら、こっちのおかず、ちょっとどうだ?」
「…いいのか?」
「いいよ、お前がよかったら…」
「…それじゃ、お言葉に甘えて…」
羽柴は卵焼きを一切れつまむと、一口に頬張った。
じっくりと味わって味を堪能して、大事そうに飲み込む。
「…美味しい?」
「うん、美味い。スゲー美味いじゃん!
 お前の母さん卵焼き作るのスゲー上手なんだな!」
「…ありがと…。
 だけどこれ、母さんじゃなくて、一応俺の手作りなんだけどね…。」
安堵したような、照れたような素振りを見せて礼を言いつつ、夏海はそう続けた。
「え…お前が…これを…!?」
驚いたように一瞬逡巡した羽柴だが、次なる一言は、
「……もう一つ、おかずもらってもいいか…?」
夏海の心に更なる喜びの想いを起こすものだった。
「いいよ。」
「それではっ」
そう言ってもう一つ何かおかずを夏海の弁当からもらおうとしたところで、
彼は一旦動きを止めて、もう一言付け加える。
「…何でもいいのか?」
その言葉に、夏海はくすりと微笑むと、首を縦に振るのだった。


「ミヤマセセリも確認、と…。
 まさか蝶だけでも今日だけで20種類以上見つかるとは…
 ……ん? 晴川?」
お弁当を食べ終えたところで、しばらく昆虫観察に精を出していた羽柴だったが、
その最中、一緒に昆虫や花・野草を観察していた夏海が、
新たに「何か」を注視しているのを見つけた。
「晴川。」
「ん…」
振り返る夏海。
彼女が先程まで視線を向けていた方向には、たくさんのシロツメクサが咲いていた。
シロツメクサ。
二人にとっても身近な花で、近所の空き地などでも見かけている。
尤も、この花畑ほど、シロツメクサが綺麗にたくさん咲いているのを、
近所では見たことが無いが。
「どうかしたのか?」
「ん?」
「いや、シロツメクサに心奪われているようにも見えたからさ。」
「いや、ちょっと昔の事思い出しちゃってさ…。」
「昔の事?」
「うん、幼稚園児の頃だったかな…。
 その頃にはさ、仲の良かった友達の女の子と、
よくお花畑や公園で、シロツメクサが花冠を一緒に作って遊んでたんだ。
うん、その事が懐かしくてさ…。」
懐かしさと、僅かな愁いを帯びた笑みを見せてそう呟く夏海の顔に、
羽柴はよりはっきりと「少女」の顔を意識する。
ずっと長い間「同性の親友」として付き合っていたつもりだったが、
その親友が女の子だと知ったのは、
まだ今から一年も経っていない、昨年の夏。
「やっぱり、お嫁さんごっことか、していたのか?」
「え? うん、そりゃあ、その頃は友達とやっていたよ。
 お嫁さんごっことか、お姫様ごっことか…」
「そうか…。やっぱりお前にもそんな時代があったんだな…。」
そう言いながら、羽柴は胸の奥に、今まで感じたことのないような感情が、
沸々と込み上がってくるのを感じていた。

「おい、羽柴。」
羽柴の手は、気が付くとシロメツクサに延びていて、
何本か摘み取ると、そのまま編み始めていた。
「お前、まさか今編んでるの…」
「花冠だよ。」
「お前も編んだこと、あるの?」
「ある。前に親戚の女の子にせがまれて作った事があるんだ。」
作ったのは、本を読みながら編んだその一回きりなのだが。
編み方は、身体が覚えていたようだった。
特に苦も無く、羽柴は花冠を編みあげていき、
やがて、それは綺麗に形を成して、完成した。
「できた…。」
思わず夏海は拍手するように小さく手を叩いた。
「……」
「…!? えっ…? えっ…!?」
かわいらしい困惑の声が、夏海の口から漏れる。
彼女の頭に、羽柴はぽんっとできたばかりの花冠を被せたからだ。
「え…羽柴、あの、これ…」
「…やるよ。」
照れ臭そうに頬を掻きながら、彼はそう返答した。
「今日付き合ってくれたお礼と、さっきおかずくれたお礼。
 さっきのおかず、本当に美味しかったぞ、ありがとう。
 …花冠姿、すごく似合ってるぞ…かわいいぞ、お前。」
夏海の中に、すぐに返すべき言葉が定まらなかった。
「お前は将来、家庭的ないいお嫁さんになれるよ、きっと。」
「………」
続け様に告げられた言葉の意味も、先程の言葉と共に理解すると共に、
同時に彼女の表情がぽんっと赤く染まるのに、ほんの数秒、
顔を真っ赤にしてお礼を言うのに、更に数秒、時間がかかった。





「なぁ、羽柴。」
「ン?」
沈む夕陽とは逆の方角に向かって、帰路の自転車を漕ぎながら、
夏海は前を走る羽柴に尋ねた。
「また、お互い時間空いてる時に…
 よかったら、また俺も一緒にあの花畑に連れて行ってくれないか?」
「ああ…お前がいい時なら、いつだっていいぞ。」
「ありがとう。また、夏に時間がある時に、一緒に行きたいな…。」
「夏だな。わかった。覚えておくよ。」
少しだけ振り返った羽柴の顔が、
彼の顔を照らす夕陽と似てるようで別の色にも共に染まっているのが、
夏海には見えた。
同様に、少し振り返った羽柴も、
夏海の顔が夕陽に似た、だけど別の色にも染まっているのを見逃さなかった。

その日、夕方近くまで昆虫や草花の観察をしていた二人は、
予定していた時間に切り上げ、帰路に就いていた。
小学生の頃にも度々一緒に過ごした時間。
だけど、あの頃から少し大人になった二人には、
その時間にも、新しい変化が起こっていた。

――何だろう、この気持ち――
かつて、同性の親友同士のはずだった二人。
だけど、同性の親友同士の頃から、心のどこかで感じたことのあった気持ち。
羽柴にとっては、それはその時には理解できなかった「不思議」な気持ちで、
夏海にとっては、それはその時には表に出して伝えられなかった「気持ち」。
二人が「同性」の親友から「異性」の親友と関係が変化して、
それはよりはっきりと、感情の変化を二人に自覚させる。

緩やかに、二人の新しい時間は動き出していた。

「晴川、あのさぁ…」
「ん…?」
「…今日は、本当にありがとうな。」
「…どういたしまして。こっちこそ、本当にありがとうな。」
その時のお互いの笑顔が、いつもより眩しく見えた事を、
二人はお互いに、忘れる事は無かった。


その日、夏海は、羽柴に花冠をもらった時、
彼に一つ、「お願い」をした。
虫や草花の観察のために持ってきたカメラで、写真を撮ってほしい、と。
そして、彼に撮ってもらった写真。
その写真の中で微笑む夏海の笑顔は、
太陽よりも眩しい、嬉しさと幸せがいっぱいの笑顔だった。
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