FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

New important places…

こんばんは、お久しぶりです。
近日中どころか二週間もあけてしまってスイマセン…
本日、また久しぶりのSS更新です。
今回のお話の主役は大人五年生夫婦。
二人の旅行先でのお話です。

次にSSを更新するとしたら、
多分以前から言っていた
11裏主×映子さんのえちぃ話になるかなと思います。
変更の可能性も大いにありますが…
できれば早いうちに更新に来たいと思います。
年内に掲載SS通算100本目指して頑張ります。

それでは、SSは以下の続きからどうぞ。



世界を明るく、優しく照らす太陽。
そして、どこまでも広がる澄み渡った青空。
天より世界を見下ろす太陽と青空の下、
遥か地平線の彼方まで延々と続く一本の道がある。
「先」の見えない、遥かなる道。
その道を往く、一人の少年と少女の姿。
「なぁ」
「ん?」
先を往く眼前の少年の背中に向けて、少女は言葉を投げかけた。
「この先に、一体何があるんだろうな。」
少年は一旦立ち止まると、後ろの少女に向かって振り返り、
「きっとな。」
間を置いて、笑みを浮かべる。
「きっと…素晴らしい…素敵なものさ。」
そう答える少年の笑顔は、眩しい、素敵な笑顔で――。
少女は、そんな少年の「答え」に対して、
言葉ではなく、笑顔で応えて――。



『New important places…』



ばさっ
夢からの目覚め。
眠りから覚めて、意識を覚醒させた羽柴秀虫は、
目を見開く前に、素早く上半身を起こした。
同時に、その身に被さっていたシーツがはらりと零れ落ちる。
身体を起こし、次いで、目を見開く。
その目に映る世界は、夢ではなく現実のもの。
見慣れない天井、見慣れない部屋風景が視界に映り、
よく知った温もりを、すぐ隣に感じる。
「すぅ…すぅ…」
静かな室内に、静かに響く寝息。
頭上を突き、周囲を見渡した秀虫の目線は、
すぐ隣の温もりのもとへと零れ落ちる。
穏やかな、愛らしい寝顔が、その目に映る。
身体に感じる温もり。耳に届く静かな寝息の音。
そして、眠れる女神の、穏やかな寝顔。
それらは充分すぎるほど、秀虫の心に安らぎを与える。
秀虫は目の前の愛らしい寝顔をそっと覗き込むと、
その柔らかくあたたかい頬に、
静かに、そっと、口付けを落とす。
瞬間、
「んっ…」
眠りの女神の口から甘い声が零れると同時に、
その顔が一瞬、笑みに似た表情を形作る。
少し、身体がよじれる。
どきりと胸が揺れたが、
彼女はそのまま、静かに寝息をたて続ける。
その目は、未だ見開かれていない。
秀虫はベッドから床へと足を下ろし、スリッパを履くと、
そのまま立ち上り、ガラス扉の方へと向かう。
閉じられたカーテンを勢いよく開き、
その向こうのガラス扉をも開ける。
扉が開かれるのと同時に、
秀虫の身体に、気持ちの良い風がそよぐ。
風をその身に浴びながら、一歩、一歩前へ。
「いい眺めだ…」
ベランダの柵に身体を預けて、ぽつりと呟く。
眼前に広がるのは、視界に映る世界の大半を満たす、海。
その水平線の彼方には、
うっすらとオレンジ色の光が滲み出ている。
滲む光は、夜明けの接近を知らせるサイン。
そよぐ風も、響く波音も、非常に心地よい。
眼前に広がり、今彼が感じている世界は、ただ美しい。
「もう、朝か?」
夜明けを目前に控えたこの世界に、
また一人、「誰か」が目を覚ます。
「誰か」とは、
夜明け前の海を今眺めている「彼」のよく知った人。
「お、目、覚めたか?」
背後の声に気付いた秀虫は、
振り返ると、声の主へと言葉を投げかける。
そこには、眠りの女神のお目覚めの姿が在った。
「ああ、覚めた…。」
彼女は少々眠たそうに、くしくしと目元をこする仕草を見せて、
「ふぁ…」
続いて、寝起きのひとあくび。
「いいタイミングに起きたな。
こっち来てみろ。もうすぐ、いいものが見られる。」
お目覚めしたばかりの女神様に向かって、
秀虫は手招いて誘ってみせる。
「ん…」
応じて、お目覚めの彼女――羽柴夏海は、
ベッドから降りると、夫の居るベランダへと歩みだす。
途中、はだけたパジャマの胸元を直す事も忘れずに。
「今、何時?」
「6時ちょっとすぎ。」
「まだ太陽昇っていないんだな。」
「日本より一時間近く遅いからな。ここでの日の出は。
 …もう昇る。」
夫婦一緒にベランダの柵に身体を預けて、
水平線の彼方を眺めつつ、静かに言葉を交わし合う。
心地よい風が二人の身体をそよぎ、
静かで穏やかな空気が、二人を包む。
「…おっ…昇り始めた…。」
やがて、水平線の彼方から、太陽が顔を出す。
少しずつ、太陽はその姿を露わにしていき、
同時に、この世界を照らす光を強くしてゆく。
少しずつ姿を露わにしていった太陽は、
遂には全身を「この世界」へと現出させた。
「綺麗だな…。」
「…そうだな…。」
「…改めまして、おはよう。」
「うん…おはよう。」
来年に結婚20周年を迎える夫婦は、
久しぶりに異郷の地での二人きりの夜明けを迎えた。





二ヶ月以上前の、7月中旬。
子供達と一緒に
近所のショッピングモールに買い物に出かけた夏海は、
そこで開催されていた福引イベントにて、
なんと特賞の海外ペアツアー旅行券を当ててしまった。
で、家族であれこれどうするか意見した末、
子供達に秀虫や夏海の両親の
「たまには夫婦二人っきりで旅行に出かけたら」
という案(願い)により、
秀虫と夏海は家族達の厚意もあり、
新婚旅行以来となる二人っきりの旅行に出かける事となった。
(ちなみに夫婦が旅行に行っている間、
 家には秀虫と夏海の両親が泊まる事になりました。)
夫婦が旅行に出かける事になったのは、9月上旬。
(ちなみに羽柴さん一家は今年の夏休み中には
家族みんなで北海道旅行に行きました。)
旅行先は、南太平洋、オセアニア諸国の一国である、
観光業と漁業を主産業とするとある島国の、五泊六日の旅。
この国に到着したのは昨日の事で、今日は旅行の二日目。





「今日は午前11時にホテルを出発っと…。」
「今日は…に行って、その後に…で、…か。楽しみだな。」
日の出の瞬間を見届けて、朝焼けの光に染まった美しい空と海を前に
一杯のコーヒーを飲み干したところで、
二人は本日分のツアー日程について再確認をとっていた。
今日のこれからに、楽しみな想いを馳せつつ…。
「…ところでさ。」
「んー?」
「今、腹、減ってる?」
「いや、まだそんなに。」
いきなりの話題変更に続いての、質問の声。
何気ない質問だが、本題は次に来るのだろう。
「そうかそうか。…今から」
「どっか行きたいのか?」
言葉を続けられる前に、
夏海は自身の言葉で彼の続く言葉を「止めた」。
…おそらく、「読めている」と思う。
彼女にはそう自信があった。
「ああ、やっぱりわかったか?」
「わかるよ、お前の言いたい事はな。
 何度も言っているだろ?どれだけお前と一緒に居ると思っている?」
涼しい顔で、内心会心の笑みを浮かべる。
見事に思考を読まれた秀虫は、
苦笑いを浮かべて頬を掻く仕草を見せて。
「まぁ…読まれていたのなら、それなら、話が早い。
 うん。散歩行こうぜ、散歩。
 ゆっくりするのも悪くはないが、
 せっかくだから、この辺りも散策したいんだ。
 自由時間に、お前と二人でな。
…正直に言うと、行きたいところがある。
…付き合ってくれるか?」
夫のその言葉に、
「嫌だ、何て言うと思うか?
 せっかくの久しぶりの二人きりの旅行だろ?
 喜んで付き合うよ。」
笑顔で夏海はそう答え、
「それに…ちょっとした「散歩」じゃないんだろ?
 ある程度予想はついているぞ。
お前の「行きたいところ」。」
更にそう続けた。
「やれやれ…そこまでお見通しか。…いいのか?」
「言ってるだろ?喜んで付き合うってな。」
駄目押しの返事を送ると、室内に戻り、スーツケースを開けて、
その中から、ある衣服を取り出し、夫に示して見せる。
「これに着替えて行く場所、でいいかな?」
「…ご名答。」
妻の示した回答に、
再度笑みを浮かべながら、秀虫は正解である事を示した。





「夏海、見ろよ。今度は白色だぞ!」
嬉々とした声で、秀虫は前方を指さす。
「綺麗だな、本当…」
指し示す先には、翅の表裏が白一色に染まった大型の蝶が、
生い茂る葉の上で、その翅を休めていた。
「写真写真…」
秀虫は手にしたデジカメを手際よく操作し、
眼前に居る純白の蝶の姿をカメラに収める。
蝶の姿をカメラに収めた後、
彼は蝶の姿をまじまじと眺めて観察していたが、
やがて蝶が羽ばたき去っていくと、その姿を見送った。
「元気でな…」
そして、蝶の姿が見えなくなると、
「嬉しいなぁ…」
しみじみと、彼は感動を噛み締めるのだった。
「いちいちオーバーだな、お前は…」
「仕方ないだろ。感動しちゃうものはしちゃうんだからよ。」
背後から隣へと歩み寄った夏海に対し、
嬉しそうに秀虫は答える。
「初めて立ち入ってみたが…話に聞いた通りだ。
 本当に蝶の楽園だな、この森は。」


秀虫の選んだ「散歩」場所。
それは、夏海も予想していた通り…
     ジ ャ ン グ ル  であった。
宿泊しているホテルの真正面に美しい海が広がっているのに対し、
裏手に進んだところに広がっているジャングル。
そこが今二人の「散歩」しているジャングルである。
で、秀虫と夏海が着替えた――今二人が着こんでいる衣服は、
明らかに「散歩」の時に着こむような衣服とは違った。
二人が現在着用している服装は、長袖、長ズボン、帽子の…
所謂「探検ルック」姿。
その衣服類は、ツアーに組み込まれている
ジャングルトレッキングの為に用意したものだった。
ジャングルトレッキング自体は
旅行三日目である明日に行く予定なのだが、
それよりも一日早く、ジャングルの中を「散歩」する事になり、
二人は今現在、その服装である、という事である。

実は二人が旅行に訪れているこの国は、
ある珍しい蝶が生息している事でも知られていた。
その蝶とは、トリバネアゲハ(注)の一種。
(トリバネアゲハ…
 大型の熱帯性アゲハチョウ・トリバネチョウの内、
 トリバネアゲハ属に分類される蝶の仲間。
 インドネシアとニューギニアが主産地。
 世界最大級の蝶であり、
 現存している昆虫の中でも世界最大級とされている
 『アレキサンドラトリバネアゲハ』もこの一種。)
昆虫学者であり、
「珍しい虫の為ならどこにだって飛んでいくよ」とばかりに
これまで世界各地を飛び回っていた秀虫だったが、
実はまだ彼はこの国には訪れた事が無かった。
その為、彼は昆虫学者であると同時に大の虫好きである身としても、
今回の旅行でこの国を訪れる事ができるのをとても喜んでいた。

件のトリバネアゲハであるが、
この国に生息しているトリバネアゲハは、
他の生息地では見られないような
体色が透き通るような単色に染まった種であり、
現在のところ、
赤色種、青色種、黄色種、紫色種、白色種の五種が確認されている。
(ちなみに、国の天然記念物に指定されている)

昨日のツアー終了後、秀虫は単身現地のガイドから
宿泊しているホテルの裏手に広がるジャングルも
地元の人々から「蝶の楽園」とまで言われるほど
件の蝶が多く生息している事を教えられていた。
同時に、そのジャングルには他にも様々な虫が生息している事、
あまり危険な生物が生息していない事なども教えられていた。
(ちなみに秀虫はこの国と同じ公用語が使用されている国に
 研究で滞在した事もあり、その国の公用語も習ったので、
この国の人達とも現地での公用語で会話する事が出来る。)
今回のこの「散歩」も、
この国の野生に生きる虫達をその目で見たいという想いもあって、
今こうして決行しているわけでもあるのだが…
実はそれ以外にも、ある理由があった…。


「紫色いないか?紫色いないかな~…
おおっ、ゴライアスナナフシ(注)!」
(ゴライアスナナフシ…
 現実世界ではパプアニューギニアに生息する、
 世界最大級のサイズを誇るナナフシ)
散策道を進みながらも、秀虫は件の蝶の姿を探し求め続けた。
勿論、件の蝶以外の昆虫の観察も忘れてはいない。
ジャングルに立ち入ってから
まだ30分ほどしか経過していないというのに、
件のトリバネアゲハの固有種をはじめ、
様々な昆虫が、秀虫と夏海の前に姿を見せていた。
新たな昆虫と遭遇する度に、秀虫は喜びの声を上げ、
嬉々として昆虫達の姿を観察していた。
件のトリバネアゲハも、そのわずかな時間の間に、
続けざまに赤色種、青色種、黄色種、白色種の姿を捉え、
残すところ紫色種ののみとなっていた。
そして…
「流石にそこまで都合よくは現れ…
 ……おい、いたぞ!あれじゃないのか!」
「…!あれだ!まさしくあれだ!でかしたぞ夏海!」
夏海が指示した方に向かっていく秀虫。
そこには確かに、羽ばたき、やがて小枝に止まる
紫色のトリバネアゲハ種の姿が在った。
手際よく、秀虫はその姿をカメラに収めた。
自分の姿がカメラに収められたことを確認したかのように、
紫のトリバネアゲハは写真を撮られた直後に飛び去り、
またジャングルの奥へと消えて行った。
「…よかったじゃないか。
短時間で五種類とも見つける事ができて。」
「ああ…本当に僥倖だよ…。来てよかったよ、本当に…。
 ここでしか出会えない蝶達に、
いきなりあれだけ遭遇する事もできたしな…。」
感動に溢れた表情で、喜びを露わにする秀虫。
まだ未体験だった世界で、
「新しい発見」「新しい出会い」を体験する事が出来て、
彼は心の底から嬉しく思っていた。
「また、絶対来るぞ、この国に。
 今度は…もっと色々と調べて研究したいな、
この国の虫達を。」
喜びを噛み締めるのと同時に、先の未来の事も考え、
彼は瞳をきらきらと輝かせた。
「相変わらず、本当に虫が好きだな、お前。」
そう、本当に相変わらず。
少年時代の、虫大好き少年だったあの頃と同じように。
名の知れた昆虫学者になった現在になっても、
その本質は、何も変わっていない。
輝きを増すばかり。
夏海は変わらない彼の本質を改めて再確認すると共に、
その事実を改めて嬉しく思った。
ガンバーズ時代、彼と共に森や林へ出かけた事を思い出す。
虫との出会いを、心の底から楽しんでいた彼。
そんな彼の姿を見るのも好きだった。
その彼の姿も、今も目の前にある。
そして、それを目にして「嬉しい」と感じている自分も、
今ここに居るのだ。
あの頃は友人同士で、今は夫婦。
変わっていったのに、「変わらない」ものも持ったままの自分達。
それは、やはり素敵な事だな、と改めて思った。


「ところでさ…」
「ああ…」
「さっきからトリバネアゲハとか、虫を探してもいるけど…
 ずっと、この散策道に沿って進んでいるよな。」
ジャングルに立ち入ってから、
実のところ、二人は延々と、一本の散策道に沿って、
ジャングルの奥へと進んでいた。
明らかに人が通り、手を加えたであろう形跡を示す道。
おかげで、ジャングルに迷う事もないのだが。
「…実を言うとな、
この散歩、虫との遭遇も確かに目的ではあるんだが、
他にも、目的があるんだ。」
散策道に歩を進めつつ、秀虫は背後の夏海にそう言葉を送る。
「他の目的?」
「それに、散策はお前としたいって言っただろ?
 昆虫ウォッチも、勿論お前と一緒にできて楽しいけど、
 他にも、お前と一緒にだからこそ、行きたい場所があるんだ。」
「それが、この道の先にあるのか?」
「そうだ。」
「何があるんだ?この先に。」
秀虫は一旦立ち止まると、背後の夏海に向かって振り返り、
「素敵なところさ。」
そう答える秀虫の笑顔は、眩しかった。





「あそこ、だな…。」
やがて、秀虫の視線の先に、一際明るい光が見えてきた。
木々の道の終焉を示す光。
「もうすぐ、目的の場所だぞ。」
二人の足が、自然と早まる。
光は少しずつ、二人との間に距離を縮めていき、
やがて、間の距離は無くなっていき、二人は、光の先へと出た―。


「おお…!」
「ここは…!」
ジャングルの散策道の、進んだ道の先。
そこに在ったのは、周囲をジャングルに囲まれた、
円に広がる花畑だった。
上空から見下ろせば、
広いジャングルの中に円を描いてその姿を現しているのであろう、
綺麗に円を描く広場のような空間だった。
そこに咲き乱れるは、赤、青、黄、白、紫の…
ジャングルで見た、
トリバネアゲハの固有種と同じ色をした花々だった。
「…すごいだろ?」
「…知っていたのか?ここに花畑がある事を。」
「ああ、昨日、現地のガイドに
ジャングルの情報について教えてもらった時に、
ここの事も教えてもらったんだ。
隠れた人気スポット、らしい。」
ジャングルを抜けた者のみが辿り着く事の出来る、小さなオアシス。
観光客もあまり訪れる事のないという、穴名だという。
「…一休み、していくだろ?」
「最初から、そうする予定だったんだろ?
 楽しませてもらうぞ、ここでの時間も。」
そう言うと、夏海は上着のボタンに手をかけた。
「ちょっと脱ぐよ。さすがに暑いからな。
 …ここなら危険な虫もジャングルの中に比べれば
 そんなに現れる事もないだろ。」
「あ、ああ…、だ、大丈夫だとは思うが…」
そう言う秀虫の声は、どこが歯切れが悪い。
少々、気温とは別の理由で、頬が熱を帯びていた。
「…ぁ…いや、誰も見ていないから、気にしていないって。」
彼が何を考えているのか察した夏海も、
少々羞恥を覚えつつ、言葉を続ける。
「…俺が見てるぞ。」
「いいよ、お前になら見られたって。」
夏海は上着を脱ぎ去り、上半身のタンクトップ姿が露わとなる。
年齢を感じさせない見事にプロポーションの整った美しい、
且つセクシーなボディーラインがはっきりと示された姿。
「…俺も脱ぐか…。蜂とかには注意しろよ。
秀虫も上着のボタンに手をかけると、
手際よく上着を脱ぎ捨てて、上半身はシャツ一枚となる。
探検ムードを解除して、花畑での、暫しの穏やかなひと時が始まる。


あたたかで、穏やかなひと時が流れる。
花畑にはあのトリバネアゲハの固有種も姿を見せており、
固有種が五種類ともすぐにひらりと姿を現しては、戯れていた。
勿論、そんな光景を前にして秀虫が黙っているわけがなく、
嬉々としてカメラにその姿を収めて、
その様子を観察したりしていた。
夏海もそんな秀虫や蝶達の姿や
美しい花々の情景に見入り、楽しんでいた。


「久しぶりの二人きりでの旅行だったから、
 こうして自然の中で、
二人きりになれる場所は無いかな、と探していたんだ。」
「それで、ここに…。」
「いい場所を見つけられて、よかったよ。」

「ごめんな、許してくれよ…」
秀虫は夏海から一旦離れると、
謝罪の言葉を呟きつつ、
花畑に生えている花の中から五色の花を数本ずつ抜き取ると、
あるものを作り始めた。
それは…
「できた…」
やがて彼はそれを完成させると、それを持って、
腰を下ろしつつ、花畑を眺める夏海の元へ。
「お前、それ…」
秀虫が手に持っている物に気付いて、夏海は目を丸くする。
彼が手にしていたもの、それは、五色の花によって形成された、
綺麗な花かんむりだった。
何も言わずに、秀虫は夏海の頭に、そっと優しく、花かんむりを被せた。
「…よく似合っている。かわいいぞ、お前。」
夏海は再び自分の頬が、
太陽熱とは別のものが原因で熱を帯びていくのを感じた。
そして、ひらりひらりと舞う五匹の蝶が夏海に近付くと、
彼女が頭に被った花かんむりに舞い降りてみせた。
「蝶も気に入ってくれたみたいだな。」
嬉しそうに笑みを零すと、彼はカメラのシャッターを切った。
カメラに、照れくさそうな笑みを浮かべる夏海と、
その頭に舞い降りている五色、五匹の蝶の姿が収められる。
そして、またカメラのシャッターが切られた事を確認したかのように、
五匹の蝶は飛び去って行ってしまった。
「…旅行もそうだが、
こうやって花畑で二人きりで『デート』するのも、
本当に久しぶりだな、俺達。」
「……」
「ちょっと…懐かしい気持ちだな。」
「そう…だな。なんだか不思議で、懐かしい気分になるな…。」
二人の胸に去来する想い。
それは、同じところから起こっているもので、
同じものを、二人にもたらしていた。

そう、今のここは、二人の、二人きりの世界。

「ごめん。」
一体何に謝ったんだろう。
その答えを見つけ出す前に、夏海の身体は、花畑へと押し倒された。
「お、おい、いきなりか…んっ…」
そして、言葉を続けようとする前に、
夏海の唇は、彼女を押し倒した秀虫のそれによって、塞がれた。
小さな花畑は、今は二人きりの世界。
静止した時の中で、二人の想いが、一つに溶け合った――。

「時間、大丈夫か?」
「まだ大丈夫だよ。もう少し、こうしていたい…。」
花の香りと、愛しい人の香り感じ、愛しい人の温もりを感じながら、
彼は再び、目を閉じた。
「…そうか…。」
肯定の返事の代わりに、
彼女は目を閉じると、愛しい人の身体をぎゅっと抱きしめる。


「また来たいな、ここに…」
「そうだな。今度は、家族みんなで…」
「ああ…。だけど、今は…」


それは、小さな二人きりの世界での出来事――。



おしまい
line

comment

Secret

line
line

line
プロフィール

無頼

Author:無頼
ようこそ。
どうぞ、ごゆるりと。

↓管理人の特に好きなパワポケCP
6主×瞳さん
羽柴君×夏海さん
10主×紫杏

6主×瞳さんスキーな同志、
随時求みます。

line
カテゴリ
line
月別アーカイブ
line
最新トラックバック
line
最新コメント
line
最新記事
line
FC2カウンター
line
StyleKeeper
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QRコード
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。