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【パワポケSS】わからないものはわからない

今回のSSはネタ成分が多分に含まれた内容です。
わからない人には本当にわからない内容だと思います。
こんなワケのわからない自己満な内容でスイマセン…。

ひっどい内容ですけど、よろしければ下の続きからどうぞ…。

次回の更新は一週間後を予定しております。
更新ペースが落ちていて申し訳ないです…。




『わからないものはわからない』



「何でわざわざ休みの日に
こんな事に付き合わなきゃいけないんだよ…。」
「文句言うなよ。『付き合っていい』と言ったのは、
他ならぬお前だろ?」
不貞腐れ顔でブツブツと文句を言う竜太を、水木がたしなめる。
竜太とは対照的で、水木はどこか嬉しそうな表情である。
「俺はそんな昔の映画なんかに興味ないのに…」

事の発端は、昨日の金曜日の夜。
突然水木に「明日暇か?」と問われた竜太は、
その日に丁度予定が何も入っていなかった為に、
「暇だ」と正直に答えてしまった。
それが運のツキであった。
水木に「明日ある映画のブルーレイを観るから、一緒に付き合え」と
言われてしまったのである。
竜太は映画を観るのは決して嫌いではなかったが、
水木が普段観ている映画に対しては基本的に興味が湧かなかった。
水木の普段観ている映画は所謂「B級映画」であり、
観ていて本気でワケのわからない内容が多く、
竜太には何がいいのかさっぱり理解できなかった。
しかし、「暇」だと言ってしまった以上、付き合わざるを得ない。
約束を反古にするのも、いい気はしなかった。
仕方が無いので、竜太は今日一日水木に付き合う事にした。

「で、何の映画を観るんだよ?
またいつものワケのわからないB級映画か?」
悪態を突くような言い方をする竜太だが、
そんな彼に対して水木は不敵に笑う。
「ワケのわからないとは失礼なヤツだな。
 まあいい。今日観る映画はそんなマイナーな映画じゃあない。
 …有名、かつ、素晴らしい映画だ。冗談抜きで、な。
 オレがこんな有名映画を
こうして観るのも我ながら珍しいと言えるぐらい、
 知名度も内容も優れた映画さ…。」
水木の笑みには何か根拠のわからない自信が竜太には感じられた。
よっぽどの自信があるのだろうか。
竜太は気になって一つ質問してみた。
「その映画のジャンルって何だ?」
「SFだ。」
「SFの有名映画?ス○―ウォ○ズか何かか?」
「あんな大衆受けするような映画じゃないな。
 だが、十分あれとも比較していいぐらいマジで素晴らしい映画さ…。」
「そんなに…。」
水木の言葉に、竜太は少々期待を感じた。
竜太はわりとSF映画が好きで、
ス○―ウォ○ズやス○―ト○ックのような映画は好物だった。
それらと比較しても素晴らしいというのだから、期待してしまう。
もっとも、その比較した上で「素晴らしい」と評しているのは水木なので、
それが竜太の評価基準と等しいとは言えないのだが。

水木はわざわざ部屋をカーテンで閉め切って、
部屋を片付けた。照明は全て切った。
おまけに、
ソファーの隣のテーブルにはお茶の入ったペットボトル(2ℓ)と
ポップコーン2袋(一袋税込みで103円)が用意してあった。
大した準備である。
「なあ、その映画の時間、どれだけあるんだ?」
「んー、2時間半ってとこかな。」
「ながっ!」
「今時の洋画の大作映画も大体そんなぐらいだろ。」
「まあ、そうか。」
「あ、最初に予め警告しておくぞ。」
「ん?何だ?」
「途中で寝るなよ。いや、マジで。
 映画に対するツッコミを言うのは大いに認める。」
その言葉に竜太は不思議がった。
昨日は夜更かしをしていないし、まだ時刻は昼の1時を回った所である。
おまけに今から観るのはSF映画。
しかも、
ス○―ウォ○ズと比肩しても引けを取らない内容の映画だと聞く。
そんな映画で寝てしまうなど、まず有り得ないと竜太は思っていた。
オマケに、ツッコミは大いに認めるという言葉に、
少し嫌な予感が頭をよぎった。
「よし、じゃあ今から観始めるぞ。」
かくして、休日の男二人っきりの映画鑑賞会は始まった。

「何だ、コレ…」
映画の開始から2分が経過した。
しかし、一向に画面には何も映し出されない。
妙な声が聞こえてくるだけである。
「これ、ホラー映画なのか?」
「いや、SFだ。」
何ら疑問を持つことなくそう答える水木。
竜太も「まだ始まったばかりだから」と
とりあえず自身を納得させるのだった。

しばらくして、
画面には地球と月と太陽が重なるように映る画面が映し出され、
丁度ここでタイトルバックとなった。
「何かこの音楽聴いたことあるな。」
「カッ○○―ドルのCMとかで聴いたことあるだろ?」
水木のその言葉に、竜太は「ああ、そういえば」と納得した。

「なあ、この映画は動物の映画なのか?」
「だから、SFだって。」
それから20分以上にもわたって、画面に映し出されるのはサルばかり。
サルが縄張り争いをしたり、怪しい黒い石版に触れたり、
武器を使って戦う場面ばかりが流れた。
竜太は少し頭が痛くなりそうになったが、
水木はというと何か小声でブツブツ言いながら嬉しそうに見入っていた。

それからようやく映画はSF映画らしくなってきた。
明るいワルツと共に宇宙ステーションや
スペースシャトルに地球が映し出され、
ようやく人間の登場人物も出てきた。
先ほど出てきた黒い石版がまた出てきた。
しかし、台詞は思いのほか少ない。
「なあ、主人公は誰なんだ?」
「まだ出てないぞ。」
その水木の答えに竜太は驚愕した。
もう映画が始まってそれなりの時間が経過しているというのに、
未だ主人公は登場していないという…。
とりあえず、
竜太はこの映画を「かなり風変わりな映画」と認識した。

映画の内容は中盤に差し掛かっていた。
主人公らしき宇宙船の船長が登場し、
他にも仲間の宇宙飛行士が出てきたり、
船を制御する意思を持ったコンピューターが出てきたりしたが、
竜太には話の方向性がよくわからなかった。
「木星」に何かを調べに行く、という事だけはわかったが。
水木は相変わらずウキウキしながら嬉しそうに映画に見入っていた。
竜太はもう何かを突っ込む気力が徐々に失せてきた。

やがて映画は佳境に差し掛かってきた。
船を制御するコンピューターが突然何を思ってか船員を船長以外殺害し、
コンピューターが船長にスイッチを切られたり、
そのコンピューターがスイッチが切れる寸前に
「デイジー・ベル」を歌ったりと色々あったが、
竜太は観続けている内に話がワケがわからなくなってくるのと同時に、
自身を強烈な睡魔が襲っている事に気付いた。
台詞が恐ろしく少ない上に、派手なアクションや演出も無く、
非常に静かに進行していくストーリー展開に加え、
その独特の雰囲気故、
非常に眠気に囚われやすい状態になってしまったのである。
水木のあの警告が今になって理解できた。
「なあ、水木」
「ン?どうした?」
「これ…そんなに面白いのか?」
「ああ。すっごく面白いが。」
「……」
もう竜太は何も突っ込む事ができないような気がした。

ついに映画はラストを迎えた。
ラストの20分は竜太にはとにかく意味がわからなかった。
主人公が木星に到着した途端、
木星の近くにあった
巨大なあの黒い石版によって開かれた「門」に引きずり込まれ、
長い長い光の渦を抜けた先には変な部屋があり、
そこで主人公は一気に歳を取って、
気付いたら老人になって、その前にあの黒い石版が現れて、
主人公が巨大な赤ん坊に変身して、地球の衛星軌道上に姿を現して、
そこで映画は終焉を迎えた。
竜太は先ほど以上に強烈な睡魔に襲われたが、
とりあえず根性で何とか視聴しきってみせた。
観ていて本気である種の苦痛に襲われた。本気で疲れた。
ラストの20分近く、一言も台詞が無いのも、それに拍車をかけていた。
水木はそんな竜太とは対照的に、
「感無量」とでも言いたげな満足そうな表情を浮かべていた。

「お付き合い、ありがとよ。で、やっぱりつまらなかったのか?」
礼を言うのと同時に、単刀直入に「つまらなかったのか」と水木は告げる。
「正直、意味がわからなかったよ…。」
竜太も率直な感想を述べた。
「やはり予備知識無しではキツかったか…。」
「予備知識無しでは辛い映画だったのかよ…。」
急に疲労感に襲われ、竜太はガックリと肩を落とす。
「まあ、もう少し大人になってからまた観てみな。
 そうしたら、きっとこの映画の素晴らしさがわかる。」
「もう観たくねえよ…。」
本気で「勘弁して欲しい」と竜太は思った。
「大体あの黒い石版は何だよ?あの最後のアレは一体何なんだよ?」
「黒い石版は宇宙人のコンピューターで地球人に進化を促す存在だ。
 ちなみに、あれはPS2のデザインの元ネタだ。覚えておけよ。
 あと最後のアレは主人公が人間を超越して神にも等しい存在に進化した姿だ。
わかったか?」
冷静に質問に答える水木に、竜太はすぐに何も言えなかった。
宇宙人…?神…?あれってそういう映画だったのか…?
さっぱりわからなかった…。
「わからん奴には理解の非常に難しい映画なんでな、そう、気にするな!」
そんな事言われても、慰めになっていないと竜太はしみじみ思うのだった。

「オイ、どこへ行くんだ?」
「ランニングだよ…。」
「よし、オレも付き合うから一緒に行くぞ。
 走りながら今の映画の内容について詳しく教えてやる。」
「…それはもう結構…。」
もうしばらくあの映画の話題からは離れて欲しいと心から思う竜太であった。

しかし…
竜太は水木から
「この映画がなければス○―ウォ○ズはなかった」とか、
「日本の多くのアニメや漫画(エ○ァとかゲッ○―ロ○)は
この映画の影響を受けている」とか、
「ガン○ムのボ○ルはこの映画の小型宇宙船をモデルにしている」だの、
「この映画はアポロの月面着陸の前に作られた映画」だの、
無田もビックリなぐらいの
この映画に関するマニア的なうんちくを多く聞かされるのだった…。

後年、水木は壮太にもこの映画を見せたのだが、
どの様な感想を言われたのかは、想像に難くない…。



おしまい



≪あとがきのようなもの≫
「2001年宇宙の旅」って本当に傑作ですよ。
スタンリー・キューブリックは偉大だ…。
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